プロフェッショナルインタビュー <2>

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ランドスケープのプロフェッショナルに聞いてみた

ランドスケープの設計から施工までを一貫して行う「Yard Works」さん、山梨県を拠点として全国各地で活躍されています。そんなYard WorksさんとRoyal Gardener’s Clubがコラボレーションしたホースリールとジョーロが誕生しました。
植栽デザインや管理について、またコラボ商品の開発裏話を代表の天野氏に伺いました。

スタイリッシュな庭に映えるデザインと機能性のホースリール

造園家、天野慶さん。その仕事は庭づくりにとどまらず、商業施設、宿泊施設などの空間そのものを植物でデザインするアーティストです。そんな天野さんにとって、植物の世話は仕事の大事な1パート。どんな道具で行っているのでしょうか。

Yard Works
代表取締役 天野慶さん

Yard Worksの空間デザインとは

―― 天野さんが植物を使った空間デザインを手掛けるようになったきっかけは?

天野 大学卒業後はいわゆるサラリーマンをやっていたんですが、DIY が好きで棚を作ったり、頼まれてDJブースを作ったりしていて「あ、自分はこういう空間を作りの仕事がしたいんだ」と気づいたんです。それからサラリーマンを辞めてガーデンデザインの修行をしたあと、ヨーロッパを回っていろんなものを見て歩いてから、造園業に入りました。最初は個人宅の庭のリノベーションが多かったんですが、最近はゼロから庭造りを任せてもらったり、商業施設や宿泊施設といった、大型の空間デザインの依頼も多くなっています。

―― 植物を使った空間デザインの面白さとはどういうところですか。

天野 私のデザインはわりと植物がワシャワシャっと密集していて、園芸目線だとぎゅうぎゅう過ぎるくらいなんですが、商業目線では「なんだろう、なにがあるんだろう?」と思わせる、一歩踏み入れさせる、映えさせることも考えて空間設計をしています。

――確かに向こうが見えないからこそ、何だろうって確かめたくなりますね。

天野 狙い通りです(笑)。これだけワシャワシャしていると、たまたま何か一つの植物がちょっと調子悪くなっても、他がカバーしてくれるメリットもあります。

植栽管理

――植物を使った空間づくりは、その後の維持管理も重要になってきますね。

天野 それはすごく大事です。もちろん植付けの段階から、使いたい植物の特性に合わせて土壌を変えたりして、その植物にとっていい環境を整えますし、施主様にはケアに関する資料も用意して、その後の管理をしやすくしています。それでも難しいときは、そうしたお手入れを請け負うケースもありますが、多くの施主様はご自身で植物を手入れすることを楽しみにしていらっしゃるので、そのへんはすごくありがたいですね。

―― とはいえ、水やりひとつとってもコツがあるのでは……

天野 ありますあります。基本的に水は土にやるものですが、夏などは人間の肌と同じく葉も日光と熱でかさつくので、葉水といって葉にも水をかけます。その際、やはり水の粒が小さい、細かい霧吹きのような感じがいいんです。でも大きな植栽だと葉っぱ一枚一枚に霧吹きを使って葉水をしてたらきりがない(笑)。そういうとき、Royal Gardenerʼ s Club さんのホースリールはノズルがいいので使いやすいですね。

コラボ商品開発の裏話

―― 天野さんの会社 Yard Works とのコラボデザイン、とてもスタイリッシュですね。

天野 もともと Royal Gardener’s Club のホースリールはボディやホースの色に高級感があって、庭に出しっぱなしにしてあっても絵になるシリーズですが、Yard Works とのコラボはバイカラーで、私自身すごく気に入ってます。これには2人の、私が大好きなデザイナーさんがかかわってくれているんです。

―― 1つの商品に2人のデザイナーですか。

天野 そう。まずロゴなんですが、これは以前 Yard Works で家具を(作ろう)という話が出た時に、私が崇拝するグラフィックデザイナーに作ってもらったロゴなんです。デザイナーの許可を得て、
これもまた私が大好きなグラフィックデザイナーの青木章さんに「このグラフィックを使って、
Royal Gardenerʼ s Club さんとのコラボデザインを作ってほしい」という、ちょっと無茶なお願いを
したんです。そうしたらこんな風に水をやる根をデザインに入れて、さらにもともと単色で作って
いるホースリールのボディを分解して組み合わせたバイカラーを「こうしたらかっこいいよね」と
提案してくれて。

――そうですね、この黒とグリーンを組み合わせることで、さらに Yard Works らしさが演出されて
います。

天野 こういうところが青木さんのすごいところだなと。私が説明する以上に、こちらがやりたい
こと、Yard Works らしさをわかってデザインに落とし込んできてくれる。この人に任せて間違いな
かったと思いました。

――積極的に見せたくなるデザインですね。

天野 わざわざしまって出しては面倒ですしね(笑)。もともと Royal Gardenerʼ s Club さんのこのシリーズは、ノズルの機能性、たとえば水滴のサイズを細かく変えられることや、止めたいときに手元でピタッと止められることなどにくわえ、ホースの取り回しのしやすさなど、使い勝手で「さすが日本のメーカー製」という定評がありますし、今回コラボで作っていただいたものは、サイズも都会に住む人でも使いやすいので、機能面でもデザイン面でも大満足です。

プロは道具にこだわる?

――天野さんは道具にいろいろこだわりがありますか。

天野 それがあんまりないんです(笑)。私にとっては使いやすさと入手しやすさが大事。
以前は刃物を研いだりしていましたが、今は買い換えるようにしています。

――入手しやすさは大事ですね。

天野 それも使いやすさの一つですから。あと、個人で使うものは持ち運びやすさも。

――出しっぱなしにできるデザインも、実は機能性の一部だと思います。使いたいときにすぐ使えま
すから。

天野 なるほど。億劫にならない。商業の現場だと、自動灌水(タイマー制御で自動水やりするシステム)というものがあって、曜日や時間はもちろん、雨が降ったらそれを感知して水やりの量をコントロールしたりもできるんです。でも家庭では自分でやるので、なるべく使うのが楽しい道具がいいですね。

水やりワンポイントアドバイス

葉水は水量なども大事ですが、何よりも大事なのはタイミングです。水の玉が葉の上に残っているときに強い日光が当たると、水がレンズになって葉が焼けてしまいます。
「朝早く、あるいは日が落ちてから」が鉄則です。

About “Yard Works”

天野 慶  Kei Amano

1977 年、山梨県生まれ。リフォーム会社で働いた後、イングリッシュガーデンを手がける師匠のもとで造園や植栽を学ぶ。「Yard Works」の屋号で独立し、さまざまなアプローチから緑のある生活の魅力を発信。2017 年には事務所兼ショップ「THESOIL」をオープン。HOTEL K5 や SANU、NOT A HOTEL、今回の撮影に協力頂いたPLANT などを手掛ける今注目のガーデナー。

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撮影協力:PLANT
東京都板橋区蓮根 1-14-22
https://hasuneplant.com/

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